【続編】少しマニアックだけど超重要な、「建材の長期耐久性」についての話

こんにちは、代表の足立です。

最近お問い合わせいただく内容を振り返って思うことですが、家づくりをご検討されているみなさまの中にも、家づくりにおける長期耐久性、持続可能性について、興味をお持ちいただける方が増えてきているように感じます。SDGsに代表される、昨今のサステナビリティ気運の高まりによるものでしょうか。

いずれにしても、「安かろう悪かろうではなく、きちんといい家を建てたい」と考えてくださる方が増えるのは、地域にとって、とてもよいことだと思います。(もちろん弊社にとっても、サステナブル建築のニーズが増えるのはビジネスチャンスが増えることと同義。ありがたいことです)

さて今回は、窓サッシと断熱材の耐久性についてのお話です。前回の記事はこちらからどうぞ。

前回の記事は、私が副委員長を拝命している「JBN(全国工務店協会)環境委員会」で、全国の加盟工務店向けに住宅の環境性能(省エネやエコロジー、サステナブル)に関する勉強会を企画させていただいているという話でした。

議事進行役を仰せつかっている私。昨年9月の写真なので夏服(そして色黒)です。

住宅建材に求められる寿命(耐用年数)は何年か?

今年度の環境委員会のテーマは「建物の長期性能に資する建材・部材」。問題のあった国産の透湿防水シートの他にも、窓サッシや断熱材についての勉強会を開催していたのです。「高性能建材を初期性能ではなく、長期性能で設計するために」と題し、建材試験センターの次長様や、各サッシ・断熱材メーカーの開発部長、商品開発室室長、技術グループ長などそうそうたる面々をお呼びして、意見交換をさせていただきました。登壇くださった各メーカー、団体のみなさまには心より感謝しております。

具体的な内容については、あまりオープンにしきれない情報なので、ご興味があるお客さまには個別でこっそりお伝えすることにしましょう。

とはいえ、窓サッシにせよ、断熱材にせよ、長期耐久性能の面では、まだまだ検証が必要な製品が多いことは、この記事できちんとお伝えしておきたいと思います。

さて、それでは本題に入る前に、あなたも以下の質問について少し考えてみてください。

問題:現在、家づくりに使用されている窓サッシの寿命は何年くらいだと思いますか?

これは全国の住宅事業者さんもほとんどご存知ない(というか考えたこともないのでは)と思うのですが、有識者の間では「問題なく使えるのはだいたい30年くらいでは」という認識が一般的のようです。確かに、現在日本で普及している住宅そのものの寿命が30年程度であるということを考えれば辻褄は合います。

けれど、これから先、みなさまが建てていく家は、当たり前ですが寿命30年では足りません。人生100年の時代なのに、30代、40代、あるいは50代で建てたとしても、その家が30年でダメになってしまうようでは、残りの人生は一体どうするの??ということになります。

企画した研修会では、窓サッシだけでなく断熱材の長期耐久性もテーマとして取り上げていますが、そちらはそちらで長期性能上の課題があります。そもそも長期耐久性能を試験している断熱材自体が少なく、どの断熱材がどの程度保つのかは、まだ比較できる段階ではありません。断熱材の性能は、基本は「出荷時性能」でカタログに記載されており、年数を経て性能がどう落ちていくかはどこにも書かれていないのです。

長持ちする住まいを作るなら、基本的には長期性能が証明されているもの、また、劣化しにくい素材で作られているものを選定していく必要があるということですね。

では長期耐久性能に着目すると、どんな断熱材が優れていると言えるのでしょうか? グラスウールやロックウールという種類の断熱材は、その名前の通り、ガラスや石の繊維で作られているものですが、これらの素材は劣化しにくいと言って問題ないでしょう。逆に、発泡系断熱材(特に現場で吹き付けるタイプ)は、職人間で蔓延している間違った施工方法などにより、外的要因を受けやすく性能劣化スピードが早いという指摘もあります。

永遠に劣化しない素材はこの世の中にありませんから、どんなものでも、徐々にその耐久性は低下していきます。

最近の窓サッシは、ガラスを複層にして間にアルゴンガスなどの気体を充填することで断熱性能を高めていますが、これらの気体も、ほんの少しずつですが、漏れ出ていくものです。新品の時の性能がずっと続くわけではないのです。

外的要因についても考える

また、建材の長期耐久性は、その建材だけで決まるわけでもありません。

例えば、断熱材と電気配線を一緒に壁内に施工したとします。電気配線は実はそこそこ熱を持ちますが、多くの現場では断熱材と一緒くたにして壁内に埋め込んでいます。断熱材は当然、熱を外に逃さないようにしますから、配線は壁内の密閉された空間で断熱材に挟まれて、どんどん高熱化していきます。30年程度での劣化は考えづらいとしても、100年の時間軸で考えた場合、そのように過酷な環境下にある配線や建材が劣化しないはずがありません。電気配線も、ライフスタイルの変化によって追加変更する可能性もありますし、断熱材とは分離する設計・施工を行うのが肝要ですが、実際にそのように設計・施工している住宅会社は残念ながら多くありません。

その他、埋め込み式のLEDダウンライトなども、断熱材施工箇所に設置する際には注意が必要です。機器自体が熱を持ちますから、断熱材と重ねることで高温化して火事になるという事故も毎年のように発生しています。

このように、建材そのものの性能だけを考えればよいわけではなく、複合的・外的な要因で起きてしまう劣化や事故は、数を挙げればキリがありません。

いずれにしても、100年以上住み継がれ、資産価値が残る住まいを実現するならば、長期耐久性やメンテナンス性などにも配慮し、「持続可能な住まい」にしておくことが重要だと、なんとなくご理解いただけるのではないでしょうか。

もっとも重視すべきは「ライフサイクルコスト」

当社が提供している住まいは、100年以上の長きにわたり暮らしを営むことができる「持続可能な木の住まい」です。

一方で、現在日本の主流となっているのは、かつてのスクラップ&ビルドの時代に開発された30年でゼロ円になってしまう住まい。言い換えれば30年で住めなくなってしまう「短命な家」です。そのような住まいは、だいたい20〜30年前後でフローリング材の張り替えが発生したり、防露が甘く結露でカビだらけになって数年ごとに壁紙を張り替えなければならなかったり、外壁工事で数百万円の追加コストを支払ったりしています。

研修会で取り上げた窓サッシも断熱材も同様です。30年も経てば交換する箇所も多く出てくることでしょう。一箇所修繕するだけでもおそらく十数万〜数十万円です。サッシや断熱材の場合、内壁も外壁も工事の影響を受けますから、「そこまでお金をかけるならまとめて大規模修繕をした方がいいね」という話になり、数百万円単位でお金をかけることになるかもしれません。

これって、人生設計上、かなりツライ出費になってしまうと思うのです。

また、そこまでお金と労力をかけても、それは延命措置でしかありませんので、結局その家は50年程度で解体(あるいは次の住まい手がつかず地域で放置)される運命です。

一方は長くとも50年、もう一方は100年以上も住み続けることができるとしたら、いったいどちらが賢い選択なのでしょうか。もし後者のタイムスケールに合わせようと思ったら、短命な家は少なくとも2棟建てなければなりませんよね。

もしあなたが「50年住めればいい」という考えをお持ちでしたら、それは自己中心的というものです。そのような家を受け継がなければならない子供たちや若い世代のことを、ぜひ考えてみていただきたいと思います。彼らにとっては、そのような家は資産ではありません。誰も住めない家は、ただの負債です。厄介ごとを押し付けていることにもなりかねません。

設計者・施工者は、これらのこともきちんと理解し、部材・建材の選定をしていくべきですし、お施主さまも最低限の知識を持って、極力、耐久性が証明されている建材や、明確に長持ちすると判別できる素材などをリクエストしていくようにしましょう。もちろん、建材だけではなく設計や施工も同じくらい重視していただけるとよいですね。

それにしても、住宅事業者が学ぶことは本当に多岐にわたります…。もちろん「あだちの家」では上記のような部分もすべて記載した通りの水準で行っていますが、外国製品まで目を向ければ、建材の性能向上には目を見張るものがあります。それらの情報収集を常に行い、お施主さまに喜んでいただけるようにしていこうと、今回の研修会を企画してみて、あらためて感じた次第です。

次回は、

・その仕様って、本当に「オプション」でいいの? 住宅の最低基準とは。

このようなテーマでお伝えしたいと思っています。こちらもぜひご覧ください。

もしご相談などありましたらお問い合わせページからどうぞ!

>その性能、いつまで もちますか?

その性能、いつまで もちますか?

せっかく建てた高断熱・高気密の省エネ住宅も、断熱材などの部材が劣化してしまえば、その性能は格段に落ちてしまいます。「あだちの家」は、連れ添い、住み継ぐ、持続可能な木の住まい。20年前後で住めなくなってしまう短命な「日本の住宅」から脱却し、お施主さまとそのご家族が一生快適・健康に暮らせる住まいを提供いたします。