サステナブルな木の住まいとは?

あけましておめでとうございます。代表の足立です。

「あだちの家」のHPやブログをご覧いただき、本当にありがとうございます。

2019年のそこそこ大きなプロジェクトであったHPリニューアルも無事終わり、(と言っても、まだ追加したいページはたくさんありますが)、2020年からは定期的な情報発信をしていこうと思っている次第です。

なんのテーマでブログを始めようかと思案しましたが、「あだちの家」の根本のコンセプトである、「Sustainable Architect」つまり、「持続可能な住まい」について自分の考えを述べるのが一番最初かな、と思い、今回のタイトルを決めました。

さて、SDGs気運の高まりもあってか、「サステナブル」「持続可能性」といった言葉が、建築業界でもにわかに注目を集めるようになっています。

でも、SDGsを掲げている方々の中には、「サステナブルとはなにか?」に、自分(自社)なりの答えを持たないまま、ただ流行に乗って「うちはサステナブルな家をつくってます」と表現されていらっしゃるケースも多々あるなあと、傍目に感じています。

もちろん、きちんとした家づくりをされている住宅会社さんも(数は少ないけれども)あるのですが、問題は、そういう家を建てている会社と、そうじゃない会社を見分けるのがものすごく難しい、というところにあります。

では、サステナブルな住まいってなんなのでしょうか?

例えば、なにかを開発するときに、その代価として海を汚したり、森などが失われてしまうのは「持続可能な発展ではない」と判断されたりするわけですが、住まいづくりにおいては、どんな建物だったら「持続可能である」と言えるのでしょうか。

あまりもったいつけても仕方がありませんので、足立建築の解釈をお伝えしますが、サステナブル=持続可能、というのは、簡単に言えば「地域で循環し続ける、長持ちする住まい」ということになると思います。

簡単に、とは言ったものの、少しイメージしづらいと思うので、二つに分けて、説明します。

「長持ちする」とは

日本の木造住宅は20〜30年で住めないものになってしまう、という言い方をされることがありますが、あなたはご存知でしたか?

もちろん、先進的な工務店やハウスメーカーが建てる家は、そんなことはないと思います。(私には、すべての会社の仕様が分かるわけではありませんので、確信的な言い方はできません)

現在は家づくりもかなり体系化されてきておりますので、設計施工の正しい知識や技術があれば100年以上保つ住まいを作ることができます。

長寿命な住まいは、例えば、

・劣化しにくい素材を使う
・劣化する場所は交換しやすい工夫がなされている
・繰り返し起きる地震にも耐えられる強固な躯体を実現する
・壁内結露が起きないように温度や湿度、熱環境性能が高められている
・適切な維持保全計画が作られている

上記のような対策がきちんと取られていますが、日本の住宅業界では、ずいぶんと長い間、そのような作り方をしてきませんでした。

高度経済成長期などは、20〜30年での建て替えも頻繁に行われていましたので、そもそも長持ちさせる必要がなかった、というのもその一因かと思います。

しかし、今の世の中では、「家は一生もの」という認識の方が主流でしょう。実際、弊社に相談に来られるお客さまも、これから建てる家を「いつか建て替える」という方はほとんどいらっしゃいません。

(もちろん昔から、「家は一生もの」だとお施主さんは思っていたと思いますが、残念ながらプロの技術者であるはずの工務店や住宅会社ですら、自分たちが建てている家が短命なものだと気づいていなかった、というのが本当のところです。プロですら何の根拠も知識も無く、家は一生保つものだと勘違いしていたわけです。プロ失格ですね)

弊社は、30〜40代のいわゆる「住宅一次取得者世代」がメインのお客様ですが、人生100年の時代と言われている現代では、お客様は少なくとも60〜70年程度は、今から建てる家に住むことになるはずです。

つまり、人の寿命よりも長持ちする家でなければ、そもそも住処としての役割を果たせないということが分かるかと思います。これから先、南海トラフ大地震のような大災害も予見されているわけですから、何事もなくても長持ちするのは当然、有事の際にも命と暮らしを守れる、強靭な住まいにしておくことは必須だと考えられるわけです。

しかし、今、地域に新築で建っている住まいが、そのように「長持ちする住まい」かと言われると、ほとんどそうではないと個人的には思います。

耐震、劣化対策、維持管理、温熱環境性能など、最低限の基準を担保できる「長期優良住宅」ですら、まだ普及率は3棟に1棟程度。住宅会社によっては、「長期優良住宅は意味ないですよ」とか、「オプションでやれますけど、高くなりますよ」とか、そんな言い方をしていると聞きます。お施主様の命や暮らしを守る、基準となる作り方をしている長期優良住宅が、「意味ない」とか、「オプション」でよいとは、とても思えないのですが、あなたはどう思われるでしょうか?

最低基準である長期優良住宅も、実際には建設検査(きちんと施工されているかの検査)がなく、建てる前に図面を役所に提出しただけで認定を取れてしまう「設計検査」のみであるという事実も注意すべき点なのですが、HPにも多少記載してありますので、今回は詳しく説明しません。

「地域で循環する」とは

上で述べた「長持ちする」というのは、言ってしまえば最低限そうするべきだよね、という基準でした。

では、「地域循環」とはどういう状態を指すのでしょうか。

今、地域にはかなりの数の空き家がありますよね。静岡県の空き家率は2018年度の調査で16.4%。エリアによって偏りもありますので、空き家が多い地域はまるでゴーストタウンのようにも見えます。

空き家が増えてしまう理由も、紐解いていくとたいへん根深いものがありますが、中古住宅の流通が進まず、一時取得者のほとんどが新築に走ってしまうことが直接的な要因です。

新築を売っている立場の工務店がこんなことを言ってしまってよいのか?という疑問もありますが、事実ですので隠すわけにもいきません。

ただ、新築史上主義になってしまうのも当然で、20〜30年前に建てられた住宅は、先ほどお伝えしたように、ほとんどが「長持ちしない、短命な住宅」です。メンテナンスの仕組みもなかったので、きちんと管理されているとも言い難く、

・不安
・汚い
・わからない

と言ったネガティブなイメージが、中古住宅には蔓延してしまっているのです。こうなってしまうと、これらの中古住宅は地域で循環しません。

なんとなく、地域循環のイメージを掴んでいただけましたでしょうか? 要は、地域で未来にわたって住み継がれる住まいかどうか、ということになります。

地域で循環させるためには、先にお伝えしているように、「躯体の長寿命性能」が大前提ではありますが、それを担保した上で、きちんと「未来の誰かも使える家」にしていくことが重要です。

それは、適切なメンテナンスをし続けることももちろんですが、

・その住まいを受け継ぐお子さん方が使える間取りや設計になっているか?
・相続した人が使えなくとも、市場に出せば借り手や買い手がつく家かどうか

このようなことまで考えて家づくりをする必要があります。

一般的な二世帯住宅を弊社が推奨しないのも、そのような理由からです。ご両親が先立たれた後、家の半分が空きっぱなしになってしまうのは、省エネルギーの観点からも非常に無駄が多いです。ご両親がいなくなった後に貸し出せるような別棟としての設計や、少しの工事で完全に分離できる配置計画など、工夫すべき部分が多々あります。

そもそも、二世帯住宅を貸しに出そうとしても、核家族化が進んでいる日本ではまず借り手がつかないでしょう。

たとえ、躯体性能を高めても、それが後々誰にも使われないようでは、それは地域で循環しているとは言えませんし、誰にも使われない住まいは、メンテナンスもなされず、より朽ちていくだけです。

また、地域の住民が残したいと感じるような美しさ(審美性)も重要ですね。美しい住まいは、それだけで「これは大事にしなくては」という人々の力が働きます。住宅の意匠性を高めることも、サステナビリティに直結する大事な要素かと思います。

ちなみに、ここでいう美しさは、ブロックを積み上げたような、流行や作りやすさを追求した工業的な住宅のことではありません。地域の風土に馴染み、連綿と受け継がれてきた「日本の家のかたち」というものがありますから、それを現代の意匠性や性能水準に合わせて解釈することが重要だと、私たちは考えています。

そのあたりは意見が分かれるところかもしれません。しかしいずれにしても、「長持ち」と「地域循環」はセットであることが、なんとなくご理解いただけるのではないでしょうか。

おわりに

新年最初のブログということで、少し長くなってしまいました。

足立建築は10年以上も前から、全棟に住宅性能表示制度というものを導入し、住まいの維持管理・劣化軽減、省エネ、環境性能について研究を重ねてまいりました。

かねてより私たちが目指していたのは、住まい手に連れ添い、次世代にまで住み継がれ、地域で循環する「持続可能な木の住まい」です。

住宅建築におけるSDGsの到達点のひとつとして、「あだちの家」の特徴をチェックいただければ幸いです。

また、今回ブログを書いてみて、HPのような公的な場ではやはりオブラートに包まなければいけないなと感じました。笑

直接お話の際には、もっと面白いお話もお伝えできるかもしれません。家づくりをご検討されているようでしたら、いつでもご相談ください。あなたとお会いできるのを楽しみにしております!

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