最大のリスクがすぐそこに

こんにちは。足立建築 代表の足立です。

コロナ禍もあって、世の中がずいぶん様変わりしましたね。間違いなく後年の教科書にも載るでしょうし、今は「危機の時代」と言ってよいと思います。

ワクチンの開発や生活スタイルの変化で、いつかは収束すると信じていますが、経済的なダメージも相まって、今はまだ、みなさん不安の只中にいらっしゃるのではないでしょうか。(もちろん、私も含めて)

さて、コロナウイルスの感染拡大は突発的に生じたリスクでした。人類の経済活動の拡大など、過剰なグローバリゼーションが世界的な感染拡大の要因になったことは間違いありません。

報道されない日はないので、コロナウイルスが人類にとって大きなリスクになっていることは、誰しもが理解していることでしょう。

でも、実はそれと同じくらい大きなリスクが今も膨らみ続けています。

いよいよヤバい気候危機

そうです。地球温暖化に端を発する『気候変動リスク』。これがそろそろ限界です。個人的には、コロナ禍よりもこちらを毎日報道してほしい。

「社会の授業やNHKの番組でちょっとは知っている」

きっと多くの方が、このくらいの認識なのではないかと思います。(スウェーデンの活動家、グレタ・トゥーンベリさんがテレビで取り上げられていた時期もあるので、もしかしたらもう少し詳しい方もいるかもしれませんね)

かくいう私も、30代までは全然考えることもありませんでした。というか、自分の日常的な経済活動と地球温暖化が、どこまで密接に結びついているか、理解できていなかったというのが実情です。

実際のところ、個々人の消費行動が影響を与えるのはごくわずか。

例えば、電気をたくさん使えばその分火力発電所が多くの電気を作らなければならず、化石燃料が過剰に燃やされるわけですが、個々人がエネルギーをぜいたくに使ったところで、発電所の発電量に与える影響は微々たるものです。

火力を使うのは、ゴミ処理でも一緒ですね。我が家だけが自宅で出るゴミの量を半分にしたところで、ゴミ処理に使われるエネルギーはほとんど減らないでしょう。

なので、その人が「別にいっか、俺(私)はやらなくても」と思う理由も分かります。

でも、怖いのは、その空気感。ひとりがそう思っているだけではなく、みんながそう思っている。「別にいっか」が世の中に蔓延している、その状況です。

結果的に限りあるはずの資源は、まるで無尽蔵に供給されるものであるかのように無駄遣いされ続け、地球温暖化はさらに進みます。

地球温暖化って何がいけないの?

「地球温暖化」と一口に言ったところで、いまいち自分ごとにしづらい…という方もいるかと思います。

でも、日本は圧倒的に地球温暖化の影響を受けやすい国です。あなたの将来的な暮らしにも密接に関わってくるところなので、きちんと理解しておくことをおすすめします。

将来的、と言いましたが、それも「数十年後」ではありません。10年とか、それくらい近い未来の話です。本当に、かなり切羽詰まっているということを、まずはご理解くださいね。

さて、地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素などの「温室効果ガス」が増えすぎることで、気温上昇、ひいては地球全体の気候変動を引き起こす事態のことです。

二酸化炭素の排出が爆発的に増えはじめたのは、18世紀の産業革命。石炭や石油などの化石燃料を燃やして、多くのエネルギーを手に入れたことの代償です。

現在も多くの国が経済活動を拡張しており、それに伴って温室効果ガスも増え続けています。

世界の平均気温は、産業革命の時代からすでに1度上昇していますが、0.5度の気温上昇でさえ、海面上昇や酸性化、干ばつや洪水などを引き起こすことが報告されています。

2015年に採択された「パリ協定」は、産業革命からの平均気温の上昇を2度未満に保ちつつ、1.5度に抑えるよう努力していくことを世界各国の目標として定めています。(トランプ前大統領がこの協定から離脱することを決定して話題になりましたね)

ここ数年で、日本の各地では過去に例を見ないほどの大雨や強風による災害が発生し、気温の極端な上昇も目立つようになってきています。2020年は、浜松でも過去最高タイとなる41.1°Cを観測しました。これらは明らかに、気候変動によるものでしょう。

20年ほど前は38°Cくらいでも大きなニュースになっていたように思いますが、この数度の気温上昇は、実はとても激しいものだと言えます。

例えば、もしあなたの体温が3度ほど上がったとしたら、かなりキツくありませんか?

恒温動物である私たち人間は、まだ温度変化に対応できますが、爬虫類などの変温動物は、外気温の変化に適応できません。絶滅してしまう種も、かなり多く出てくるでしょう。

最新の研究によれば、ウミガメのタマゴは気温が高いほど、メスとして孵化する可能性が高まるそうです。そうして性が偏っていけば、結果的に種が絶えることにもなりかねません。また、それら気温の変化が我々人類の生態にも影響を及ぼす可能性だって否定はできないのです。

このようなことは、20年以上前から警鐘を鳴らされてきました。我々は、それを無視し続けて、結果的にギリギリのところまで来ています。

こういった気候変動リスクは現実としてありますし、しかも、それを負担するのは、我々のような現役の世代ではなく、将来的に生まれる子供だったりするわけです。

これ、だいぶおかしいことだと思いませんか。

ちょっとサイエンス系の番組みたいになってしまいましたが、地球温暖化についてはなんとなくご理解いただけたのではないでしょうか。

でも、それでもきっと、あなたはこう思うかもしれませんね。

「だからといって、私にできることはないし…」

そんなことはありません。

あなたの家づくりの方針次第では、環境保全に対して、非常に大きなインパクトを与えることができます。

私があなたにお願いしたいのは、たったひとつ。

「いい家」を建ててください。

はい、これだけです。

家づくりは環境的にも重要な選択

あなたに建ててほしい「いい家」とは、耐久性が高く、100年以上、その地域で使われ続けるような、長持ちする住まいのことです。

あるいは、性能が高いため太陽の光や熱を利用して暖房でき、エネルギーを使わずとも快適な住まいのことです。

あるいは、激甚化する災害にも耐え、住まい手や地域の人々を守る住まいです。

もしあなたが、20〜30年で寿命が来てしまうハリボテの住宅を建てたら、後々の修繕にも多くの材料を使わなければならず、光熱費も余計にかかります。また、早くに寿命が来てしまうので、その建物の解体や、建材の廃棄にもお金とエネルギーを使うことになるでしょう。(世の中の99%が、そういう住宅と言っても過言ではないと私は思っています)

これでは、限りある資源を大切に使っていることにはなりません。

もちろん、「いい家」の方は、いい材料を使って、いい職人さんにお願いするわけですから、初期コストだけで比較すると、短命な住宅よりも1000万円以上、高くなるケースもあるでしょう。

でもこのくらいの差額は、後年のランニングコストで簡単に逆転していきます。計算すれば明らかなのですが、いい家の方が後々の修繕費や光熱費もかかりづらく、粗悪な家を建てるよりもはるかに、金銭的なメリットがあるのです。

それでも、「高い初期費用を払うのはリスクがある」と考えて、結果的にそれ以上に大きいリスクがあるローコスト住宅や中途半端な高性能住宅を選択してしまう方が多いのは、本当に、残念でなりません。それが結果的に、本人たちの暮らしだけではなく、環境や社会にも多大な悪影響を与えることになってしまっているわけですから。

実際、建築物由来のエネルギー消費はかなり多いです。だからこそ、家づくりを検討しているお客さまや、家づくりに携わる我々事業者、一人一人が真剣に考えて選択しなければならないと思います。

新築が難しい場合は、高性能な共同住宅や、中古住宅・中古マンションの性能向上リフォームというのも、地域や社会にとってはベターな選択です。

中古は「不安、汚い、わからない」などと評されることもありますが、知識のある事業者が行えば、新築と遜色ないレベルで快適かつ耐久性のある住まいにすることも可能です。


(こちらは2020年竣工のマンションリノベの事例です)

いずれにしても、粗悪な新築を建てるよりも、今あるものを利用して快適な暮らしを実現する方が、どれだけ意義のあることか。

少し暑苦しいのは承知していますが、あだちの家を検討くださっているお客さまには、このようなお施主様側の「使う責任」についてもきちんとご説明をしています。

これから家を建てる方々には、できる限り無駄なエネルギーを使わない暮らしをしていただきたいですし、環境のことを考えて生きてほしい。それが社会人としての責務とも言える世の中になってきています。

家づくりの選択は、その大きな分かれ道です。

きちんとした家を建てるということは、エネルギー問題も、資源の問題も、同時に解決できる選択なんですよね。弊社が掲げている「持続可能な家づくり」とは、まさにこのようなコンセプトを表現するものです。

あだちの家はもちろんですが、地域には数社、そういった住まいを建ててくれる工務店があります。そして、地域の気候風土や特性を理解している『地域工務店』しか、そういった家づくりはできません。

地球に息づく生物のため、あなたの子供や孫のため、ぜひ、いい家を建てている地域工務店で家づくりを進めてくださいね。

次回もお楽しみに。

株式会社足立建築
足立 操

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