あなたが家を建てる前に知っておくべき、日本の現代住宅の問題点6つ

こんにちは、足立建築の足立です。

昨今の感染症拡大では、これまで成り立ってきた経済の仕組みが、想像以上に脆いものだったとことを思い知らされています。

いち事業者としても、お客さまとの打ち合わせをオンラインで行うなどの対応をしていますが、このコロナ禍が、本当に社会のあり方の転換点になるかもしれない、という印象を抱いています。

いずれにしても、浜松エリアでも少しづつ感染者が出てきていますので、これまで以上に、私たちも自らの行動に責任を持つ必要があると感じている次第です。感染された方の完治、また、事態の一刻も早い収束を心から願います。

さて、なかなか外出もできない状況ですから、あなたもきっと、ご自宅でスマホやPCで住宅会社を調べたり、建てたい家のイメージを固めたりしているのではないかと思います。

そこで、間取りやデザインを決める前に、「大前提知っておくべきこと」をこの機会にきちんと整理しておきませんか?

というのも、あなたが思っている以上に、日本の現代住宅は問題だらけだからです。「昔はダメだった」とかじゃありません。現在進行形で、とても問題のある住宅がこの地域にも建ち続けているのです。

「いち工務店が何言ってるんだ」と思われるかもしれませんが、これは何も私たちの思い込みで主張しているわけではありません。国土交通省や日本弁護士連合会の調査による、裏付けのあるデータを元にお話する内容ですので、ぜひ色眼鏡をかけずに読んでいただければと思います。

さて、下の図は、足立建築がお客さまにご説明する資料から抜粋したものですが、現代住宅の問題点を6つに整理しています。

他の住宅会社さんは説明を避ける部分でもあるので、当然ほとんどのお客さまはまったく知らない内容です。ただ、弊社できちんと説明させていただくと、かなり深い驚きとともに「聞いてよかった」と仰っていただける内容になっています。

今回は、こちらの6項目について、お客さまが驚かれる部分をご紹介していきます。

1.耐震性能は「耐震等級3」ならOK、じゃないの?

実は、全然OKではありません。

法律で定められている構造計算すら、4号特例(後述します)に甘えて行っていない住宅会社は論外ですが、依頼する会社が構造計算をしていて「耐震等級3」を取得しているからといって安心というわけでもありません。

上表のように、構造に関わる箇所の図面だけでも項目によって作成者が異なる場合がよくあります。

住宅性能評価など、公的な第三者機関のチェックが入っていない場合、各担当者がバラバラに作成している為、各図面の整合性が取れておらず、結果的に構造力を担保していない施工となっている物件が多数発生しています。また、躯体のみ構造計算していて、基礎も含めた計算をしていないケースも多いです。

各図面を作成する担当者が本当の意味で構造の考え方を理解していて且つ第三者のチェックを入れることが重要です。自社で計算ソフトに打ち込んでいるだけでは、安定的な構造の実現は難しいです。

地震の多発している昨今、耐震性能を高めるのは必須です。過去に起きている地震でも、家が凶器となり命を奪うケースが多発しています。かなり少ないですが、構造のことをきちんと理解できている設計者・施工者に依頼することを推奨いたします。

2.断熱と気密にこだわれば家は快適になる?

これも、お客さまがびっくりされるところです。

【出典:住宅省エネ技術講習会テキスト】

住まいの快適さを室温で伝える資料も多いですが、実際にはこの室温の計算だけでは本当の体感温度は分かりません。

熱の伝わり方には「伝導」「対流」「放射」という三つのパターンがあるため、住まい手の体感する快適さは、それらをきちんとコントロールできているかどうかで変わります。平面的に室温を捉えるのではなく、天井、壁、床などの表面温度やそこからの放射熱、暖冷房の吹き出し口がきちんと上下についているか、また換気や湿度のコントロールなど、立体的に熱移動を検討することが、住まいの快適性に大きく影響することを、知ってほしいと思います。

ちなみに、「日本の家は寒い」という話は聞いたことがありますか?

実際、先進国の中でも、日本の住宅の断熱レベルは、ほぼ最下位に位置しています。「欧米諸国の刑務所ですら日本の家よりは温かい」なんて言われてしまうほどです。

実際、底冷えする日本の冬の寒さは、住まい手の寿命や健康にもすこぶる悪影響です。入浴中に脳梗塞や心筋梗塞を発症してしまう人の数は、真冬が夏の約11倍。
これは、エアコンで暖められたリビングから寒い廊下に出て、さらに寒い浴室で衣類を脱ぎ、その後40度近い湯船に入ることで、急激な温度差に身体が曝されることで起こる「ヒートショック」という現象です。

実際に、ヒートショックで亡くなる方の数は年間17,000人以上。交通事故による死亡者数が約3,700人/年ですので、約5倍の数となります。これは、車よりも家の方が、よっぽど人を殺しているという証左だと思います。

夏は夏で、熱中症が室内でかなりの数発生しているのは、きちんと熱をコントロールできない家が多いからだと考えられます。

また、最新の研究によれば、暖かい家、しっかりと気密性が高く、計画換気が出来ている家に住む人ほど、喘息やアトピーなどの改善率が高くなるという結果も出ています。まだまだこれから研究されていく分野ではありますが、高性能な住宅と住まい手の健康との相関関係も、徐々に明らかになってきていると言ってよいでしょう。

また、夏暑く、冬寒い家住んでいる方々に何よりお伝えしたいのは、「あなたは我慢しなくてもいいんですよ」ということ。

暑い寒いを感じなくてすむことが、どれほどの幸福度をもたらすか。何より、暑さや寒さを我慢して、光熱費も余計にかかる住まいでは本末転倒もいいところです。

3.家づくりに使用している建材は何十年も使える?

「JIS規格」をご存知でしょうか? 断熱材や窓サッシなど、住宅建材でも、認定を取得しているものは多くあります。

「聞いたことはあるし、これを取っていればなんとなく安心…」

あなたも、こんなふうに思っていませんか?

もちろん、「一般財団法人建材試験センター」というところなどが、きちんと試験を行って、認定しているものですので、ある程度は安心です。

しかし、実際の建材は、JIS規格では「出荷時証明」のみということがほとんどです。どういうことかというと、試験で調べたその性能は、住まいに施工された後の性能では無く、工場からの出荷時性能、つまり住まいに取付けられた状態では無くて、工場で作られた直後の状態の時だけでよいのです。

建材が劣化するのは、実際には風雨や薬剤など、外的要因によるものです。しかし、その建材を長期的に使用してみてどうなるか、というのは、ほとんどの建材では試験すらされていないのが現状です。

実際、ある吹き付け断熱材メーカーの仕様書ではそのあたりを誤魔化して書いていたり、外壁の下に貼る防水シートが10年経たずにボロボロになっていたりと、全国各地、お施主様には見えないところで酷い問題が起きています。

長持ちする住宅として国が推奨している長期優良住宅ですら、耐久性の低い建材でも認定が取れてしまうのです。本当の意味で長期的な使用に耐える住まいは、本当に、本当に少ないということです。

4.そもそも「建築基準法」は最低基準

耐震性能においては、建築基準法を「耐震等級1」としています。その耐震基準は、

①中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと
②大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しないこと

これがどういうことか、わかるでしょうか。意訳すると、

「震度6強〜7の地震が来たら、倒壊しないから人命は守れるけれど、損傷はしてもよい」
「その後、その住まいで継続的な生活ができるかを約束するものではない」

こういうことになります。

もし大きな地震が来て、辛くも命が助かったとしても、その後、最低限度の生活が営めなければ、それはとても大変です。建築基準法ギリギリ、というような建て方は決してオススメできるものではありません。

その上、先にお伝えしたように構造に関する知識のない設計者が図面を書き、施工者も知識がないまま、基準と異なる施工をしてしまうわけですから、そのような住まいが、有事の際に住まい手を守れるかどうかは甚だ疑問が残ります。

またこれは、省エネ性能についても一緒です。

実は、先進国の中で大きく遅れていた省エネ性能の基準は、2020年に、レベルを上げて義務化することが閣議決定として決まっていました。

そのレベルも先進国の中では最低基準とはいえ、日本の住宅設計においては大きな一歩となるはずでしたが、2018年末に「義務化は無期限の先送り」と、急転直下の判断が下されています。

その理由は「大多数の工務店や建築士に、その設計・施工技術がないから」だそうです。

そもそも最低レベルの設計施工なのに、日本の住宅業界ではそれに対応できる人たちがほとんどいない。私たちの業界は、国土交通省にそういう判断を下されてしまったのです。

地域に生きる工務店として、本当に情けない話ではありますが、そういった業者が多いのも、また否定できない事実です。そういう会社に限ってデザインは優れていたりするものですから、お施主様がそういう会社になびいてしまって、後でトラブルになるのも当然です。

また、JIS規格に長期性能を評価する試験がないのはご説明した通りですが、日本の法律には、住宅の劣化対策や長期性能を定める記載が存在しません。そして、法律で決められていないことは、どのメーカーも、試験所も、コストアップに繋がるがために、まったく意識していません。

住まい手の人生よりも長持ちすべき「住宅」が、その劣化や維持管理について未検討のまま設計してよいはずがないと思うのですが、あなたはどう思われるでしょうか。

5.設計・施工業者の大多数にも問題アリ

設計者は、構造計算書の提出義務がなければ、構造計算すらしません。意匠性を高めなければ仕事が取れないため、デザインを重視して、本来的に重要な住宅性能をないがしろにした住まいを提供します。
それはそうですよね、受注が取れなければ、その人は、その会社は、社会で生きていくことができません。

施工者は、職人としての意識が薄れてきていることを感じます。大工などは、今は資格がなくてもできてしまいます。現在問題となっている、全国的な職人不足とも相まって、最低レベルのことがスピーディーに 出来れば、沢山の仕事がもらえる世の中になってしまいました。結果、建築のプロと思われている方々が、性能に関する知識なく、耐震性や長期性能に劣る住まいを作り続けています。

職人さんの職能をきちんと見える化すべく、国も「キャリアアップ制度」なるものを作り始めていますが、機能するようになるのは、まだもう少し先の話でしょう。

さまざまな住宅会社がSNSで施工現場の情報を発信していますが、知識がないために、建築的にありえない状態をおおやけにしてしまうことも多発しています。ただ、それがお客さまには分からない建築の専門分野ということもまた、問題を根深いものにしています。

ちなみに、先に述べている建築基準法では、建築物の耐震強度を確認するために「構造計算」すべきと定められています。しかし、一般的な木造住宅(4号建築物という)は、特例で、なんと構造計算書の提出が不要ということになっています。

実際は、書類上「計算書の取り付けが不要」というだけなのですが、世の多くの建築士と施工業者はこれをはき違えて、提出義務がないから構造計算をしていないというのが現実の姿です。

日本弁護士連合会が無作為に百棟の住宅を調べたところ、その百棟すべてが、耐震基準を満たしていない状態で建っていたことが2018年に明らかになっています。日弁連はこれを問題視していて、「4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」を国土交通省に提出しています。(こちらから全文をご確認いただけます

4号特例は、一面焼け野原だった、戦後まもない時代に制定された特例ですので、「とにかく住居を建てなければ!」という環境下では容認できたかもしれません。しかし、今この時代に、その特例に甘んじてお施主様の住まいを台無しにするようでは、そんな業者はプロ失格だと我々は思うのですが、いかがでしょう。

6.あなたも賢くならなければいけない

巷に流通している住宅雑誌やWebメディアは、その多くが、掲載している住宅会社からの広告収入で成り立っています。

それらのメディアは、住まい手のためになる情報を発信しているように見えて、その実、スポンサーである住宅会社のPRをしていることがほとんどです。

このような構造を頭に入れておくだけで、住まい手にとって本当に必要な情報というのは、巷の住宅雑誌などでは、なかなか手に入らないということが理解できるかと思います。

ただし、なかなか分からないからと言って、ここで努力することをやめたら、その人は、心ない業者にとっての「いいカモ」になってしまいます。

ご自身やご家族の一生を左右する問題ですから、自分が正しいと思える道を選択できるよう、きちんと勉強をしていただきたいと、私たちは考えています。

もちろん私たちは、正しい家づくりをしているとの自負がありますが、この地域には他にも、いい家づくりをされている住宅会社はいくつかあります。ぜひ、ここで述べてきたような部分を理解している住宅会社を選んでいただきたいと思います。

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以上です。なんとなくお分かりいただけましたでしょうか? 要は、ちゃんとやっている会社の方が少ないということなのです。

特に1〜3番目については、いろいろとお伝えしたい問題点があるので次回以降で詳しくお伝えしていきたいなと思っています。

いずれにしても、この記事で、まずあなたに理解してほしいのは、日本の住宅業界には上記のような問題点があるということ。そして、これらは、建てた後にすぐトラブルになるようなものではないということです。

本当に困るのは地震などの有事、あるいは十数年建って、余計に修繕のお金がかかり家計を圧迫し始めてから、です。

目先のことだけではなく先々のことまで見据え、本当の意味で安心な住まいを実現していただければと思います。結果的に、その方が資産を守ることに繋がるというのは、もう言うまでもありません。

>その性能、いつまで もちますか?

その性能、いつまで もちますか?

せっかく建てた高断熱・高気密の省エネ住宅も、断熱材などの部材が劣化してしまえば、その性能は格段に落ちてしまいます。「あだちの家」は、連れ添い、住み継ぐ、持続可能な木の住まい。20年前後で住めなくなってしまう短命な「日本の住宅」から脱却し、お施主さまとそのご家族が一生快適・健康に暮らせる住まいを提供いたします。